PwC現役Director vs PwC出身起業家で本音討論|コンサルタントとキャリアの本質とは(2/3)

PwC現役人事DirectorとPwC出身起業家のオンライン対談

PwCの現役Directorであり、新卒採用リーダーの金子賢典(Kensuke Kaneko)さんと、PwC出身の起業家でもあるWILL CAREERの長森健太(Kenta Nagamori)のオンライン対談を2020年5月27日に実施しました。コンサルタント、起業家、ベンチャー、大企業といったキャリアの文脈から、大人とはなにか、どう生きるのかといったより本質的な論点に至るまで縦横無尽の本音議論についてご紹介します。
なお、本イベントはオンラインで実施されたため、挿入している画像の画質が荒い事がありますがご了承ください。

全3回に分けてお送りします。
第2回ではパネルディスカッションを通じてコンサルタントとキャリアの本質に迫ります。

第1回はこちら


パネルディスカッション開始

長森: さてタイムマネジメント完璧。(笑)

金子: さすが。(笑)

長森: それでは、本題に入りましょうか。いきなり「皆さんから質問してください」だと結構難しいと思ったので、あらかじめいくつか論点をこちらで準備しておきました。

まずはそれにそってディスカッションしていきましょうか。

金子: はーい。

「振り返ってみて、ファーストキャリアにコンサルタント/PwCを選んだのをどう思う?」

長森: 一個目。じゃ~ん。この質問をベースに色々議論してみましょう。

Question1

金子: あー。どうしようか、一旦俺から話したほうがいいかな?多分時代が近いから長森さんの話の方がみんな聞きたいんじゃないかなって思うんで。

長森: はい、じゃあそうしましょうか。
現役コンサルでもある金子さんから話してもらって、僕の意見を次に出して、それからディスカッションみたいな感じにしましょうか。

学者志望からコンサルタントへ

金子: 僕がコンサルタントになったのは今の時代とだいぶ違いますけど、もし今の時代にもう一度就活するとして、ビジネスやるならコンサルタントになるなと思いますね。

実は僕まあ飽きっぽくて、同じことずっとできないんですよ。
学生時代はずっと哲学をやっていて、修士になって、博士に進学して学者になろうと思っていたみたいな、ある種、斜めから世の中を見ていたような、ちゃんとした人じゃないんですね。(笑)

そんな人間が飽きずに10何年もやってこれたわけですよ。で、それだけ取り上げても既に奇跡だと思っていて。(笑)
その意味でもコンサルタントになってよかったなと今でも想いますね。

金子さん

でも、本音を言うと今でも一番やりたかったのは学者ですね。
って今でも思うところがあるから、今の時代だったら昔と違って就職しなくても生きていく方法たくさんあるから、もしかしたら働かないという選択肢もありえたかもとも思います。

総じてコンサルタントになってよかったなと思いますが、それは「続けてこれたから」というただ1点においてのみですね。

で、PwCかどうかですが、これはあんまり関係ないですね。
そもそも僕はベリングポイントというPwCに買収された企業に元々就職していますし、ファームによって大きくやることが変わるわけでもないと思っているので。

なのでコンサルタントになるとは思うが、PwCかは問わないというのが結論ですかね。

こんな感じ。

結果的に運が良かっただけ

長森: 金子さんに質問を投げようと思ったんですけど、 一旦僕の話をしてからのほうがいいですかね。

お恥ずかしい話ですが、僕は入社時点で明確にこうしたいというWILLを持っていなくて、逃げでコンサルタントになったというのが僕のキャリアの始まりでした。
なのであまり能動的に判断できなくて、かなりボトムアップで結果論で話します。(笑)

僕がコンサルタントを選んだことは、結果論で言うと良かったなと思っています。
というのも僕は凄い運が良かったんですよね。コンサルタントとしての出会いが良かった。良い上司に恵まれ、良いプロジェクトを経験した。

長森
モニターがあるのでよく右を見ている・・・。

金子: そうだね。(笑)

長森:
冒頭の議論にも関係するんですけど、金子さんがおっしゃったように、いまグローバルなトレンドとしてコンサルティングファーム全体が総合化する傾向にあって。
ちょうど僕が入社したのは、それがちょうど加速していくタイミングだったなって思うんですね。

新卒入社の人数が2つ上が40くらい?で1つ上が60くらい、僕の代が70くらい同期がいて、その下は一気に100を超えて、今は200名くらいですかね。
ファーム全体のサイズも入社したときは1,500名くらいだったのが今は3,000人近くいるんですかね?

金子: うん。

長森: 当時僕が思い描いていたコンサルタント像って、問題解決だけでなくて、そもそもどんな課題を解決するべきかという、問題提起から関与していくものを想像してたんですね。若いなと思いますが。いわゆるキラキラした戦略コンサルみたいな。

で、問題提起するためには、ファクトとロジックみたいなコモディティなものだけでなくて、いわゆるアートな部分が必要だと思っているんです。
問題解決は課題を解く、処理能力の問題で、問題提起はアート要素が強いってのが僕の理解です。

こういったアートな部分を持った、いわゆる最上流から企業や産業を変えていく事に取り組んでいる集団だと思っていたので、それはそれはめちゃくちゃ優秀な人ばかりだと思い込んでたんですね。

でも実際のところ、入ってみると総合系のコンサルタントっていうのは、やることがかなり下流的だった。タスク管理やスケジュール管理ばっかり。
そんな組織ではアートな人は少なく、与えられた課題をこなす人ばっかりだった。

というのが当時の僕の主観的認識です。

特にやりたいことはなく、単純に刺激が欲しかっただけの自分にとっては、ファームの大半の人もプロジェクトもあまり刺激的じゃないなって感じていました。

僕は学生時代にベンチャー企業で元コンサルタントの人に一定鍛えてもらっていたのがアドバンテージになって、「こいつは割と使える」みたいな評判が得られたのか、その中でもとびっきりな人と仕事をさせて頂くチャンスを頂きました。

そういったラッキーのおかげで、面白い人と面白い仕事を経験させてもらったんですけど、確率的にいったら貧乏くじを引いていてもおかしくなかったと思いますね。

総括しては、特にやりたいことはなく、刺激が欲しかっただけという当時の自分を前提にすると、たまたま運良く面白い人に拾ってもらえて面白いプロジェクトができたけど、結果論主義で、再現性が低く、かなり博打なキャリア選択だったなというのが僕の振り返りです。

金子: それに回答しよっか。

会社を使って遊び倒せ

金子: 僕はもう20年近く業界にいるので、時間軸の感覚は長森さんよりあると思うので、その観点から。
長森さんは下流系の仕事が嫌だ、とおっしゃったが、それは総合系コンサルの宿命なんだよね。(笑) 昔っからアートな人は少なかった。

もう一個言いたいことがあって、それはね、コンサルタントを勘違いしないで欲しいってこと。多くの学生さんはコンサルと聞くと「戦略的でかっこいい!」っていうイメージを持たれるだろうけど、本当のところ、そういうことをやっている人は少ないのよ。「それがコンサルなの?」って思われるかもしれないけど、それが現実。(笑)

そうだとすると、僕はね、会社が「ウチではかっこいい戦略ができます〜」って言って学生に宣伝するのは、もうはっきり言って、詐欺ですよ。これは僕らが十分に気をつけないといけないことだと思います。

さっき長森さんが「キラキラしたコンサル」ってことをおっしゃられたけど、それは多分相手の社長と直接あーだこーだやりとりするってことでしょ。でもそんなこと、滅多にないよ。(笑)
そこはしっかりと声を大にして言っていきたいね。そこんとこ、勘違いしないで!

長森: そうですね・・・。身にしみます・・・。
あとは、何を良かったとするのかは基準によって大きく変わると思うんですよね。

長森

これは僕の反省を含めてなんですけど、基本的にコンサルティングファームを選んだのは逃げだったんですよね。あの仕事やりたくない、この仕事もやりたくない、ってあらゆる仕事を見て思って。(笑)

金子: お、一緒だ。(笑)

長森: なんでそう思ったのかは、今では明確なんですけど、当時はそれもわかってなかったんです。
とりあえず「殆どの仕事は無理!」って感じでした。他の仕事と比べて相対的に自由そう〜ってことでコンサルタントを選びました。これがPwCを選んだ経緯ですね。

それを踏まえてですが、当時の僕はファームにどうあって欲しい、みたいな思いは全くなかったです。それは凄いもったいないことだったなって思いますね。

金子: うんうん。

長森: コンサルタントのメリットで、例えばいろいろな組織の構造、動き方をたくさん見られるじゃないですか。
その点を意識して活用しようと思って仕事をしていれば、絶対得られたものがたくさんあったはずだと思います。でも僕はそんなことは全く考えもいなかったですね。(笑)
「なんで僕の正論が聞いてもらえないんだろう」ってことしか考えていませんでした。

金子: ダメコンサルの典型じゃないっすか。(笑)

長森: 本当にそうでした。(笑)
振り返って考えると、コンサルタントと言う仕事を最大限に活用できてなかったなと思いました。
コンサルタントが何をするのか、自分は何がやりたいのか、をしっかり理解しておくと就職でのミスマッチは減らせるかなと思います。

僕は目的意識がなかったので、結果論でしか良し悪しを判断できない。
これはもったいなかったなと思います。

金子: それは凄い大事な観点だな〜
僕はよく「PwCで遊べ」って言うんですよね。僕自身も遊んでいます。(笑)

長森: はい。(笑)それめっちゃ重要ですね。

金子: 正直なところ、コンサルティングファームで定年まで勤め上げる人っていうのは皆無なんですよね。

金子さん

だとすると、出ていくまでにどれだけPwCというリソースを使って実力をつけられるか、が大事だと思います。でも、人って何か意図を持ってないと得られるものも得られないですよね。
意図がない人ってただただ周りに流されていくだけじゃないですか。

やっぱり、長森さんの言う通り、会社に入るからには、しっかり意図を持って会社を使い倒して欲しいと思いますね。

意志を持たないと仕事は楽しめない

長森: 以前話したこともあったと思うんですけど、コンサルにフィットする人ってまあまあ社会不適合者なのではないか、って思います。(笑)

金子: そうだよ。(笑)

長森: やっぱりそれって結構正しいと思っていて。
というのもコンサルタントに御用聞きはいらないじゃないですか。他者の支援を生業にしている、いわゆるアドバイザリーファームの人は空気を読まずに考えをブッ込めるって結構重要だと思っていて。
独創的な視点、面白い考えを持って来れるかどうか。めちゃくちゃ優秀だなと思った僕の上司たちもみんな社会不適合な感じでした。(笑)

僕は当時、刺激を得るという観点でエッジの効いた人、頭の回転がえげつないほど速い人、との出会いを求めていたところはあったので、結果的に数名そういった方に出会えたので、PwCに入ったことは良かったです。

ただ結構PwCの最近の流れとして、相対的にエッジの効いた人が減ってきている感じはあるので、今入るか?って聞かれたらNOですね。

金子: なるほどねぇ〜。
僕としては、今頭の良い人が減ってきている、というよりは、昔からそうだった、って思うね。つまり規模の大小に関わらず、組織という物には人材の割合があるってこと。多くて上二割の人がエッジの効いた人。それ以上多いと組織が回らなくなる。(笑) 
どんな会社でもこれは当てはまると思う。

対談風景

長森: 割合については僕も同感ですね。いろいろなベンチャーを見てきましたが、そうでした。
ただ頭の良い人と出会う確率みたいなものは組織が小さい方が有利かな、と思いますね。しがらみが少ないってことからも。

金子: それって本当の立ち上げ期の話でしょ。
いざちゃんとした組織にしますってなったら、それは普通な人が必要じゃないっすか。
実はどんな組織でも良い人と出会う確率は一緒なんじゃないかな〜って思うね。

長森: 確かに確率は一緒かもしれません、、、
そう考えると、やっぱり僕はすごく運が良かった。(笑)

最近ベンチャーにいるのでよく実感しているんですけど、ベンチャーは経営者に近いので、面白い出会いが出来る確率は結構高いと思ってます。自分の意志で押し込んで仕事作れる確率が高い気がすると言うか。
なので今もう一度キャリアを選択しろって言われたらベンチャーに行きますね。

金子: なるほどなるほど。

長森: この人との出会い的なディスカッションを続けても良いですし、仕事の内容に話を振っていっても良いかな〜と思ったんですけど、どうしますか?

金子: 話題を変える前に一つ。
最終的に社長になりたい!とか自分で事業を起こしたい!って思っているのであればベンチャーに行きなさい、って僕は言ってます。というかベンチャーを作りなさい、だね。(笑)

今ってベンチャー簡単に作れるでしょ?僕の時代は無理だったからね。多分その時代に生まれた都市伝説みたいなものがあって、「コンサルタントを挟んで起業しなさい」。これはもう今の時代では古いね。やっぱりベンチャー作れるなら作った方がいい。

長森: それは何を目的にしてコンサルタントファームに来るのか、に共通する重要なテーマですね。

金子: 無理やりまとめちゃうと、結局、自分は何がやりたいのか、何を得たいのか、これに尽きるね。

金子さん

ある一定の時間軸でものを考えたときに、自分は何者になりたいのか。
コンサルタントになりたいならうちに来なよ。(笑)
やっぱり意図を持って行動しないと面白くならないね。会社は個人の目標みたいなところにはあんまり面倒を見てくれないので、そこはしっかり自分を持とう。で、それは長森さんの会社のミッションだよね。

長森: そうですね。

「コンサルタントに向いている人はどんな人?」

長森: やりたいことについての関連でこの質問も行きますか。コンサルに向いている人ってどんな人ですかね?

コンサルタントは知的な「サービス業」

金子: あ〜。僕はコンサルティングっていうのは「知的活動でお客様を喜ばせる仕事」だと思っています。
大事なのは知的活動だ、ってことと、サービス業だ、ってことの二つ。

世の中ではこの二つのうち、知的活動だ、っていう方にスポットライトが当たりすぎている、そんな風に感じているんだよね。僕はサービス業だ、って方に重きを置いて説明したいな。

一応知的活動の要素について説明しておくと、頭を使って何かを考え、人とディスカッションしてアウトプットする、このことが得意、ではなくてもいいけど、好き、じゃないとコンサルティングはちょっと厳しいかな〜と思いますね。とにかくそういうことをひたすらやり続けますから。

長森さんがおっしゃったように地味な仕事はあるかもしれない。でも、頭を使わなくて良い仕事っていうのはないんだよね。

長森: そうっすね。

金子: やっぱり、プロとして頭使うことが求められる、それがコンサルティング。だから頭使う人が向いています。

金子さん

もう一つの要素は、誰かを喜ばせる仕事、ってことです。とにかく目の前のお客さんを喜ばせるサービス業なんです。で、サービス業に向いているってことはどういうことか、というと、自分が何かをやって相手が喜んでいる、これを見て自分も嬉しくなる、こういうことです。

心の中にある回路っていうのかな。それが自分じゃなくて、自分が助けた赤の他人が成功したり、喜んでくれたりする事で幸せに感じる回路。これがある人は向いていると思う。

他人の幸福に貢献する事でスイッチが入る回路。だね。

でもね、それっておかしな話だよね。相手がどんなに喜んだって自分に報酬が返ってくる訳じゃないから。でも、嬉しくなっちゃう。こういう癖をもっている人がサービス業に向いている人なんじゃないかな、と思います。

ここからは僕の偏見ですけど、知的活動が好きな人はサービス業が好きではない。逆にサービス業が好きな人は知的活動が好きではない。こんな人がほとんどだと思います。

コンサルタントに向いている人は二つが掛け算になっている、変な人。(笑)

これが僕のイメージする「コンサルに向いている人」です。
いかがでしょうか。(笑)

長森: その意見には特に違和感はないですね。(笑)
自分の反省も踏まえて、コンサルを考える上でサービス業に向いているっていう要素は肝になると思います。
話を振って、逆にコンサルに向いていない人のことを考えてみますか。
ちなみに自分はコンサルに向いていなかったと思っています。(笑)

対談風景

金子: (笑)

長森: どういうことかっていうと、当時の僕はサービス業が無理だったんですね。(笑)

金子: 分かる分かる。(笑)

自分の脳の報酬系を理解せよ

長森: 僕の脳の報酬系ってめちゃくちゃ自分本位なんですよね。プロジェクトが成功して目の前のおじさんが昇進したとしても、正直言って、どうでもいいんです。(笑)

金子: でしょうね。(笑)

長森さんと僕ってそこに関しては正反対なんですよね。僕はね、おじさんが昇進したら泣く程嬉しいんです。(笑)
なので僕の方が凄く良い人なんです。(笑)

長森: 良い人の概念は置いておきましょう。(笑) たまたまそういう報酬系だった、ってことですよね?

金子: そうそう。(笑) 自分の報酬系ってさ、もう20ぐらいになったら変えられないじゃん?もう出来上がってるもんでしょ。

長森: この手の議論はREAPRAで結構勉強したので、話すと長くなっちゃうんですけど、一応脳は50才程度までなら優位に変化できる可塑性を持った器官だと言われています。
※可塑性:変化できる可能性をさしてここでは使っている。

金子: 本当に?(笑)

長森: 報酬系はキッカケと実践と報酬のサイクルで成り立っており、徐々にではありますが、意図的に変えていけるという主張が主流ですね。特にアクションラーニングとか、学習に関するアカデミアの意見です。

金子: でも、やっぱり時間掛かっちゃうでしょ?

長森

長森: そうなんですよ。時間がめっちゃ掛かる。しかも過去の自分に反する変化であるほど、めちゃくちゃストレスがかかる。その時間に耐えうるだけの動機がないと厳しいです。

金子: じゃあ現実的には変えられないじゃん。(笑)

長森: 相当強い使命感、みたいなものがないと難しいってことですね。
で、当時の僕にコンサルをやるだけの強い動機はなかったです。(笑)

金子: でしょうね。(笑)

長森: 戦略的なことは知的好奇心ベースで楽しかったんですけど、クライアントを動かしていく、みたいな人ったらし的要素が求められるところはダメでしたね。そこを楽しめる人はコンサルに向いていると思いますね。

その一方で、そういうことが楽しめるってことは一種のスキルだと思っていて。

金子: うんうん。

長森: 後天的に身に付けられるスキルだとは思うんですけど、その人ったらし的スキルを身につけるのは相当しんどいんじゃないかと。やっぱり人から拒絶されること、とか、人から怒鳴られること、もたくさん発生します。
基本的にあらゆる人は人間関係に関して囚われがあり、癖が強くであるので、それが人たらしから遠い人ほど、サービス業的なものから報酬を見出すのが難しくなりますね。

金子: そうだね。

他人の成功を喜べる人はコンサルタントにマッチする

長森: 自分にとっての報酬をコンサルタントの仕事に見出せるかどうか、は凄いポイントになってきますよね。僕はどうしても他の人の事業を支援する形では、報酬系が働かなかったんです。

金子: 凄く良い観点だね。色々と多くの人がコンサルの世界から出ていく理由はあると思うけど、最大の理由はそれだよね。

「他人ごとを自分ごとにできるか」これがポイント。そういう人じゃないと続かない仕事、それがコンサルティング。
これが僕が一番言いたかったことですね。

僕、30から3年半ずっと同じプロジェクトに関わっていて、売り上げ一兆円ぐらいの電子部品メーカーの経理部のナンバー2の人と仕事をやってました。グローバル100社、30カ国の経理財務状況を統一する、っていうそれはそれは地味だけど壮大なプロジェクトだったの。で、プロジェクトが終わった瞬間にその人が会社全体のナンバー2になったんです。これは超大出世です。この時は泣く程嬉しかったですね。長森さんにはわからないかもしれないけど。(笑)

こういう感性を持っている人はコンサルタント続くと思います。

長森: たしかに僕にはわかりませんね。(笑)もしそれでドーパミンが出るなら、僕もコンサルタント続けてましたね。

僕はやっぱりビジネスをパズルだと思って楽しんでいたフシがあります。

対談風景

金子: 分かる分かる。僕のパートナーの人たちもよく「パズルパズル」っていうけどさ、それだけじゃ無理なんじゃないかな〜

長森: 色々な会社見てきて思いましたけど、人はパズルだけじゃ動かない。(笑) 

でもコンサルタントって正論を言う仕事でもあると思うんですよね。正論を言うべき仕事。コンサルタントっていう仕事は結構きれいごとになりがちですよね。(笑)

金子: そうなの?(笑) もしそうなら良いプロジェクトに入っていたんだよ。(笑)上司がしっかり根回ししていてくれたんじゃないかな〜

長森: あー。そういう意味でも運が良かったのかも。(笑)

金子: ちなみにね、僕は物流を担当していて、相手は物流部のおっさん達なんですよ。これはね、清濁飲みまくりですよ。スーツなんか着て行ったら、「何してんの」です。会議とかも
会議室ではなくて、喫煙所でタバコを吸いながら、、、でした。 

かつ、僕の物流の仕事っていうのは物流部だけの話じゃないんですよ。周辺部門と協力して変えて行かなきゃいかない。そうなったら根回しのオンパレード。(笑) 全然きれいごとではなかったですね。

そういう環境で育ってきたので僕はきれいごとを言うコンサルが大嫌いです。(笑)

長森: (笑) 確かに僕は金子さんみたいな仕事は少なかったかもしれないですね。
基本的に常駐しなかったし、レポートアウトのプロジェクトばっかりだったので。

頭は意図して使うもの

長森: そういえばさっき「地味な業務でも頭使う」っていう話あったじゃないですか。ここも重要な論点あると思っていて。
頭って使おうとしなきゃ使えない、って思うんですよ。

金子: それは重要な話かも。

長森: プロジェクトサイズが大きくなって、全体を切り分けてどんどん細かくしていく。そして全体が見えないまま小さな破片の仕事を回されると、思考停止して与えられた情報を処理するだけで仕事してる風になっちゃう。
これは結構見てきました。

金子: それはね、会社も悪いね。でもコンサルタントとして、そこで「これじゃダメだ」って思って欲しいな。  

長森: そうですね〜

たとえ小さな業務でもこだわってやり抜くというプロフェッショナリズムがあると良いと思います。ただそれを大事にしようと思っていても、組織を大きくするとその考えが薄まってきてしまう。
結果的にそれなりの高収入で高ステータスで、コスパよく与えられた処理だけをしている状態が出来あがる。
本人もコスパがいいから別にあえてチャレンジしない。

金子: 古き良き職人気質のコンサルが減って来ているってことかも。それで背中を追いかけるっていう経験が出来なくなっているんだろうね。

長森: 最近だと、エグいフィードバックってなくなりましたよね。(笑)
すぐにロジハラになっちゃうのかな。

長森

あれってやってもらった当時は凄いしんどいですけど、今考えると結構成長できたなって思います。

人に向き合う事が人を育てる事

金子: やっぱりハラスメントを気にする社会になりましたよね。でも僕の育てられ方はハラスメント的でしたね。(笑)
具体的にいうと、僕が資料を持っていくと、上司は2時間ひたすら目次でレビューしたんです。「なぜこの順番なのか?それを説明しろ」ってね。今これをやったら即アウト。(笑)
でもあれは僕の血肉になりましたね。言うなれば北斗の拳的な一子相伝型の教育。(笑)

社会は後戻りできないので、これを復活させるのは無理ですね。でもそれに代わる何かが無い。
これは問題よ。研修みたいな一辺倒な教育では届かないレベルがある。

長森: この話の本質って「相手に向き合う」ことにあると思っていて。

上司だって2時間も目次にレビューしたく無いですよ。(笑)自分で作った方が早いから。

それでも向き合う。「こいつは俺が育てる」。そんな気概を持っている人は確実に減った感覚があります。
僕が出会ってきた「良い上司」の方達はみんな気概を持っていましたなって今振り返ると思います。
そして彼らはほとんどコンサルティングファームには残っていませんね・・・。

金子: なるほどね〜

長森: 人と向き合うのってカロリーがめちゃくちゃ掛かるので、やらなくて良いなら基本やらないですよね。
でも人が資本であるコンサルティングファームで人と向き合わないってどういうこと?って僕はずっと思ってました。

対談風景

金子: おっしゃる通り。反論の余地なしです。採用と教育がうちの会社の最重要課題です。

長森: 実はもっとたくさん質問はあったのですが時間が来てしまいました。(笑)

金子: すみません。(笑)
皆さんの顔が見えないので「これで大丈夫なのか?」っていう不安に苛まれながらずっと喋ってました。(笑)

長森: 確かにマシンガンで話してきたので、途中質問とか挟みにくかったですね。(笑)反省です。

次は休憩を挟んでQAセッションなので、チャットでもマイクでもOKなのでどんどん質問ください!

>>Q&Aセッションへ進む