PwC現役Director vs PwC出身起業家で本音討論|コンサルタントとキャリアの本質とは(3/3)

PwC現役人事DirectorとPwC出身起業家のオンライン対談

PwCの現役Directorであり、新卒採用リーダーの金子賢典(Kensuke Kaneko)さんと、PwC出身の起業家でもあるWILL CAREERの長森健太(Kenta Nagamori)のオンライン対談を2020年5月27日に実施しました。コンサルタント、起業家、ベンチャー、大企業といったキャリアの文脈から、大人とはなにか、どう生きるのかといったより本質的な論点に至るまで縦横無尽の本音議論についてご紹介します。
なお、本イベントはオンラインで実施されたため、挿入している画像の画質が荒い事がありますがご了承ください。

全3回に分けてお送りします。
第3回ではパネルディスカッションを通じてコンサルタントとキャリアの本質に迫ります。

第1回はこちら
第2回はこちら


Q&Aセッション開始

休憩終了

長森: 皆さん戻りましたかね。ではでは、皆さんからいくつか質問が来ていますので、これらを題材にディスカッションしましょうか。

金子: 引き続きよろしくおねがいします。

長森: それでは、最初の質問はこちら!

Q1「金子さん自身、今後どうなったいきたいと思っておられるのでしょうか。大人の将来設計図はなかなか聞けないので是非聞かせていただきたいです。」

長森: これは金子さんへの質問ですね。どうですか。

金子: これね〜。僕、これまで色々と将来とかやりたいこととか考えてきました。

でも、考えてもすぐ変わっちゃうの。(笑)
だから恥ずかしい話なんだけど、今はあまり長期的な設計はしていません。

金子さん

で、そうするとただ一つなんですね~。
目の前に面白いことが見つかったときに、パッと飛びついて、チャンスを物にできる人間で居続けること。
僕のキャリア戦術はこれだけですね。(笑)

人生設計はしない、面白そうなものをやる

長森: 戦略というより戦術ですね。(笑)

金子: 戦略なんかあるわけない。(笑)戦術ですら無いね。作戦ですね。更に下のレイヤーでしょ。(笑)

でもそう考えると、見え方が変わっていくんですよ。
まず面白そうなものがある、ってことに気づかないといけない。

特におじさんになればなるほどアンテナってね、細く低くなっていくんですよ。
これは痛感しますね。
このアンテナをメンテナンスし続けないと気づけない。

後はね、チャレンジし続けるためにはインフラを整えないといけない。
健康もだし、家族関係も。家庭が荒れていてチャレンジなんてできないでしょ。
アタリマエのことをきちんとケアし続ける。これだけです。

金子さん

社会人は学生に対して格好つけたがるので、聞くんですよ。学生さんに。
あなたの人生設計どうなってるんですか?って。
聞かれたら聞き返してやってみてください、「あなたどうなんですか?」って。

ちゃんと答えられる人、僕の試算だと1%いないと思っています。(笑)
僕は格好いい回答ができないのでこんなもんでいかがでしょうか?(笑)

幸福に生きる鍵は人生における「テーマ設定」

質問者: 僕も、人間っていう生き物は遠くまで見通せない、って思ってます。ただ「やりたいことのベクトル」は持てるんじゃないかな〜って。今、僕はそれを探しています。

金子: ベクトルね〜。僕の言葉で言うと「テーマ」だね。大きくこういう事がやりたいというテーマ設定ですね。
これなら人生掛けられる!って思えるようなものを持っていると強いと思いますね。

これも変わるんだけど、40くらいになると固まってくるもんで。
僕のテーマは「教育」ですね。
これにまつわるテーマで挑戦し続けたいなと思うわけです。

この辺は長森さんと似てるのかな。

長森: 似てると思いますね。

金子: 教育というテーマでやっていると、あるあるなんですけど、どんどん若い人若い人って興味が移っていくんですね。おじさんより若者、社会人より大学生、大学生より高校生・・・って。

自分も含めて頭の固いおじさんにはもう期待してないんですよ。(笑)

日本はこのままいくとやばいですと。コロナでそれも加速していくでしょう。
でもなんとかできるのは人しかいないので、人を育てる事に携わって少しでも、日本を良くすることに貢献する。
大きなテーマとしてはこれだけですね。

長森: 僕もそのへんのテーマ設定はめちゃくちゃ重要だと思っていて。
どのレベルの抽象度でテーマを設定できるかは、その人の見えている世界に依存するので、時間をかけて紡ぎ出していいし、やりながら変えていっていいと思います。

教育という領域は僕も携わっていて、年を取るほど変容するのが難しくなるので、どんどん若い方に生きたくなるのはめっちゃ理解できます。(笑)

金子: そうなんですよ。悲しいかなそうなんです。

長森: 年を取るほど脳は劣化するし、シガラミも増えるので新しいチャレンジは難しくなるし、そうすると変容する難易度はどんどん高まる。

人間は現実をありのままには理解できなくて、一度自分の脳のフィルターに当ててしか情報を処理できないわけです。
一般的に、年を取るほど凝り固まったフィルターで情報を処理しようとするので、世の中の変化のほうが早くなっている昨今だと、そりゃ現状認識歪みますよね。(笑)
自分のフィルターを正にしてしまうと、勝手にわかったつもりになっちゃう。

金子: はい。すみません。(笑)

テーマを持った挑戦が器を育てる

長森: 僕も遠い将来のことまで設計するのは無理って思いますね。「ベクトル」「テーマ」っていう言葉が出ましたけど、個人的には「領域」という表現がしっくりきますかね。

長森

自分の中で中長期的に追求したいと思える領域が一定の抽象度で設定できれば、それを追求する中での具体的なアクションは、面白そうなものにチャレンジするとか、伸ばさないといけないスキルに向き合うとか、その都度都度本気で向き合って、将来向かいたい方向自分を変えていくのがいいのかなと思いますけどね。

特に若いうちは。

金子: 特に若いうちは決めうちはしない方がいいね。

長森: できるだけ広めに、抽象度高めにとっておいて、チャレンジするのがいいんですかね。

スキル的な成長と器的な成長って違くて。
一定色々チャレンジしてスキルが成長して自分一人でできることが増えてくると、今後は器的な限界に当たって、自分の人間力を伸ばす必要がそこで初めてリアルに感じられる。
そしたら今度は対人関係とか、マネジメントみたいなヒューマンスキルの成長に取り組む。

結構僕はそんな感じでしたね。
ファーム時代は、小さい器にスキルを詰め込みまくるキャリア戦略でしたから。(笑)

スキルを詰め込んで正論を振りかざして、それでは人は動かないというところで結構苦労したので。
スキルだけじゃ人は動きませんでした。(笑)

金子: (笑)

長森: (笑)
色々と目の前のことに全力で取り組んで、限界にぶち当たりながらも色々やっていくと成長できるんだと思います。

先々のことを決め込まなくてもいいですが、全く何も領域設定しないとアンテナが立たないので。

金子: そうそう。

長森: 具体的な粒度で決め込まず、一定の抽象度でやりたい領域やテーマを言語化して紡ぎ出せると良いのかもしれませんね。
そこで学習していくと、自分なりの強い原動力とか、判断軸とか、器が育っていくんじゃないかと思います。

金子: うんうん。

一流とはなにか

Q2「一流のビジネスパーソンとはどのような人物でしょうか。そのために必要なスキルはコンサル業界で身に付けられるものなのでしょうか。」

長森: 次の質問はこちら。これは難しい。(笑)

QA2

金子: 難しいね〜(笑)

とりあえず思いつきで話すから、議論の取っ掛かりにしたいんだけどいい?

僕が思う一流のビジネスパーソンは「人を動かせる人」だね。
先程、長森さんも言っていたけど、ビジネスっていうのは正論を振りかざしていくもの、ではないんだよね。ビジネスは人を動かすもの。人の思考、行動を変えていく。これができる人は凄いよね。

長森: それができる人は日本人の0.0001パーセントでしょうね。(笑)

金子: (笑)

長森: ちょっと具体例を使って思考実験しながら考えてみたいんですけど、

例えば部屋にこもってモニター10枚くらいの情報を同時並行に高速処理して利益を上げ続ける凄腕トレーダーがいるとするじゃないですか。
個人としては抜群に結果出してるし、会社にも貢献してるけど、あんまり僕は一流のビジネスパーソンだとは思わないですね。一流のトレーダーだと思いますけど。

天才プログラマーとかも同じ感じがするんですよね。

金子: 確かに。あんまりビジネスマンって感じしないね。

長森: 僕は金子さんの意見に同意していて、一流と言われると、やっぱりリーダーシップ的な要素って外せないと思うんですよ。

現代のリーダーシップ論と一流

金子: リーダーシップって言いってまとめちゃうと、なんかチープじゃん。(笑)

対談風景

長森: そりゃ、そうですけど。(笑)

僕も思いつきで喋ってますけど、場を作り、人を巻き込み、彼らの創造性を開放して力を発揮させ、何かを生み出す。
しかもそれを長期持続的に確率と再現性高く実行し続けられる人って超一流だなって思いますね。

やっぱ時間軸は重要で、単発的にパット成功した人もあまり一流だとは感じないですね。
時間軸長い人。
これはビジネスパーソンに限った話ではないですが。

やっぱり永遠に学んでいる人ってすごいと思うんですよね。

金子: 分かる分かる。

長森:「上に立つ」っていうよりも「前に立つ」って感じなんですかね。フィーリングなんですけど。

この質問をもらった時に、ぱっと何人かこれに当てはまりそうだなって思った人が想起されて。
その人達に共通するなと思ったのが、人を巻き込んで動かせる事と、長期持続的なシステムに落とし込んで現実に実装できる事かなあ。

このスキルってコンサルティング業界で身に付きましたっけ?って論点で議論しましょうか。(笑)

金子: それはさ、コンサルだから云々っていう話じゃないよ。(笑)

長森: ですね。

金子: どこに行っても身につけられるかもしれないし、身につかないかもしれない。社会人ってこういう逃げた回答をよくしていて、僕はそれが凄い嫌いなんだけど、これは本音でそう思います。

長森: 単純化して、「これが正しいです」っていうほど浅いテーマじゃないですねこれは。

アートな人の圧倒的価値

金子: 「人を動かす」っていう話だけど、僕はPwCで一人だけ尊敬している人が居るんですよ。たった一人なんですよ。

長森: 3000人いて一人だけですか。(笑)

金子: そう一人だけ。(笑) この人には本当にお世話になった。

この人の何が凄いかって、しゃべるとね、何故か元気になっちゃうんだよね。
何がすごいのか全くわからないんだけどね。(笑)
周りの人を勇気づけて動かせちゃう。

これは僕だけじゃないみたいなんですよ。他の人たちもそう。
「なんでだろう」って思ってその人に聞いてみたんだよ。そうしたら「分からない」って。(笑)

つまり意図してやっていない。
この能力は凄まじかったね。真似できない。
やっぱり真似できないってすごいんですよ。

僕が一流とビジネスパーソンと聞いて思いついたのはその人でしたね。
すごくない?(笑)

長森: めっちゃ分かる反面、僕が想起した人がそれと結構逆なんですよ。(笑)

金子: そうなんだ!(笑)

金子さん

長森: その人は起業家で、彼は自分の脳内で想起したことをものすごく言語化できる人なんですよ。

しかも、ただ言語化するんじゃなくて受けての見ている景色に合わせて、その人が前向きに自分を変容させ成長しようと動機づけられる粒度にコントロールできる。

可能な限りすべてを意図的にやって学習し続けている人っていう感じですね。

ただ、彼も結局言ってたんですけど、人間の情報処理にはフィルターがかかるので、自分の思考は完全には伝えられない。
だから、彼の本当の根幹のアートな部分は他者からはなかなかわからないですね。
すごすぎて。(笑)

金子: それよそれ!

僕が言いたかったことはアートの部分なんですよ。
説明が上手い人っていうのはたくさん居る。

僕が言っていた彼も、説明するのはうまいんですよ。
でも本当に人を動かすアートの部分は彼の中にしかなくて、これは真似できない。

長森: こういう議論してるとやっぱり業界は関係ないような気がします。世界で一番単価が高いコンサルタントはコンサルティングファーム所属したことないそうですし。(笑)

金子: それはそうじゃない。(笑)本当に凄い人は自分で会社作っちゃうもんね。

長森: 作りますね。(笑)

一人ではできないことが組織ではできる、っていう考え方もありますけど、それでも凄い人は組織の一番前に居ます。一流な人を従える一流な人ってのが居ますね。(笑)

金子: あー、上には上が居る、ってやつね。(笑)

長森: まとめみたいになっちゃいますけど、一流のビジネスパーソンって業界関係ないんでしょうね。
どれだけテーマを持ってその領域で学習し続け、熟達していったかなんでしょうね。

自分の報酬系を理解し、Hackせよ

金子: そうするとさ、さっき長森さん報酬系って言葉使っていたけど、これが鍵だと思うんだよね。

自分がどういう環境、どういう状況、どういう土俵で、どういう事をやっているときが、自分の心の中のボタンがうまーく押されるのかと。
これは報酬系ですよね。

これをちゃんと把握する。
その意味で自己分析ってめっちゃ重要だと思うんだよね。

ちゃんと深いところで自分を理解し、環境と仕事を理解し、深いレベルでのマッチングを取ること以外できないんじゃないかなって思うんだよね。

そうするとその仕事に圧倒的な熱量をだせるようになるし、熟達するんじゃないかな。

長森: めっちゃ同意です。自分をHackできる人は強いですよね。

金子: お〜今の人たちはそれを「Hackする」と言うのか〜

対談風景

長森: Hackするっていうんですよ(笑)

脳の仕組みって煎じ詰めると、入ってきた情報を瞬間的・自律的に報酬か危機回避かに仕分けするだけなんですよ。思考はその後。極論アルゴリズムなわけです。
だったら、自分のアルゴリズムを理解し、Hackして望ましい方向に脳の回路を書き換えていける人は強いですよね。

金子: なるほどね〜。今度使おう、Hack。(笑)

長森: ちなみに僕がさっき思い描いた人は「Hack」の達人でした。(笑)

結構抽象的になっちゃったんですけど、質問者の方、大丈夫ですか?(笑)

質問者: ありがとうございました。

金子: これ大丈夫かな?(笑) 飲み屋のトークになっちゃってるかも。(笑)

長森: それも含めて終わったらフィードバックを頂きましょう。(笑)

では次の質問へ行きましょう!

「金子さんへ。人事という職種の魅力を組織作りやマネジメントという観点からお聞きしたいです。」

長森: 金子さん、どうですか?

金子: そうですね、まず僕が好きなのは教育と採用。人事自体は好きではないです。(笑)

金子さん

これはどういうことかというと、人事には二つの要素があるんですね。良い人を採用し、教育していくこと、もう一つは事務的なことで、労務管理。

僕は前者が好きなんですけど、人事の本丸は後者。なので人事については語れません。(笑) 

長森: 経営者の立場から考えると、人事は最重要アジェンダですよね。会社にいる人たちができる限り楽しく仕事をし、かつ世の中にインパクトを与えられる、そんな環境を整えるのが社長としての最重要ミッションですね。

でも人事部だけで人事って出来ないじゃないですか。(笑)

金子: そうです、出来ません。(笑)

長森: 人事っていうのは会社全体が取り組んでいくアジェンダですよね。
そう言えば人事の魅力って何ですかね。

人事の面白さとは

金子: うーん魅力ね、、、

一つ挙げるとすると、社長の最重要コンサーンであることかな。つまり、これは人事コンサルをやっていると明らかなんだけど、絶対にCEOが出てくる。(笑)

会計とかCFO止まり。

長森: なるほど。

金子: 会社の本質に触れられるってことだね。凄い上っ面な回答になっちゃったな。(笑)

長森: (笑)人事に関係してなんですが、戦略論って結構面白いと思っていて。

長森

環境が比較的安定していた時代は、計画を前提とした戦略論が主流で、今でも大企業ではこういう考え方根強いと思うんですよ。
こっちで重要なのは、将来予測と計画で、リソースはそれに基づいて配分される。
だから、重要なのは市場と競合分析。静的に環境を見てる。

一方昨今は、環境変化激しすぎて「予測とか無駄、というか無理」というのが前提になった戦略論が主流になりつつあるのかなと。
いわゆるダイナミック・ケイパビリティみたいな考え方ですね。
で、ケイパビリティは組織のオペレーショナル・エクセレンスに依存していて、その根幹は人材なので、組織と人事。

この流れもあって、昨今は組織論や人材マネジメントに特にフォーカスがあたっているような気がしますね。
これからますます人事機能の重要性は増すんじゃないでしょうかね。

金子:そうあって欲しいね。(笑)

長森: 質問者さん、これどうですか。(笑)

質問者:人事部内での採用、教育と労務管理の関係性ってどんな感じですか?

金子: 採用、教育の人たちは「攻め」なんですよね。ある種のマーケティングみたいなもん。一方の労務の人たちは「守り」だね。もちろん「守り」が悪いってわけじゃないけど、この二つは相入れません。(笑)

でも何故か二つが一色たんにされている、これが人事。(笑)

質問者: 就職する際、人事部の前者、後者って選べますか?

金子: まず選べないね。そもそも「人事部に行きたいです」って言って人事部に行ける会社は無い。(笑) 色々と経験しないといけないからね。

質問者: ありがとうございました。

長森: 割と会社によりけり、じゃないですか?
たぶん今の大企業前提ですよね?(笑)

金子: はい。日本の大企業を想像して回答しました。(笑)

長森: そうだと思いました。(笑)

長森: ベンチャーの観点から言うと、採用ってのはCEOのやるって感覚強いですね。
基本、人事っていう組織は後から出てくるものなので。

金子: 僕の知っている、規模1000人ぐらいの社長は未だに毎日外部の人を口説いているね。それが社長の一番の仕事ってことよ。

長森: 本当にそうだと思います。(笑)
もうちょっと人事採用を考えるとしたら、規模感とかフェーズですかね。

会社のブランドってめっちゃ重要じゃないですか。
うちのような弱小ベンチャーではPwCのできることの1%もできない。

金子: そりゃそうですよ。(笑)
うちも使えるものはフル活用しています。

もし何もなければ、当然同じようにはできないのでゲリラ戦を展開するでしょうね。
一方で、何もしなくても集まってくる企業で採用やるとしたら、それはまた違った課題感があるでしょうね。

長森: それはあらゆる業務そうかもしれないですね。

人材の観点から見る経営の本質

金子: そう。ただ一個思うことがあってね。

言いすぎかもしれないんだけどさ、会社の経営ってさ、みんなどの社長も人が大事ですって言うじゃない。
でもさ、誰がやっても同じ用にアウトプットできる仕組みをつくるのが大事じゃないですか。
その意味では、いずれ採用を重要じゃなくしていくのが、経営の一つの要素なわけですよ。

と考えると、そういう状況の会社で採用するのと、うちみたいな仕組みがまったくない会社でやるのは違いますよね。
同じ仕事やっても、誰がやっても同じアウトプット出せるわけじゃないので。(笑)

個人的にはこういう会社で採用やってるのは面白いですね。
だからウチでやってるんですよ。

長森: ・・・。

金子: あれ?このおじさんなんの質問に回答してるんだってなってる?ただ想いを吐露しただけになっちゃった?(笑)

長森: いやいや。(笑)

長森

ちょっと別角度で、経営者目線で考えると、めちゃくちゃクリティカルだなと思いました。

人は大事にしたいし、その人にしかできない仕事をしてほしいし、それでやりがいを感じてほしいですと。
それは事実なんですけど、会社全体としてはシステムなので、個人に依存度を高めすぎるといずれ詰むわけですよ。

金子: わかります。

長森: 人を取り替えられる状態のシステムにしておかないと、最後はみんなで死ぬことになる。

だから、うーん。ボトムラインなんですかね。
ここはシステムとしては死守する。それよりアップサイドは個々人の創造性に任せるみたいな。

人によって全然意見違うと思いますけどね、これは。

究極別に経営者だってそれは同じなわけで。
会社は個人よりもっと抽象的な法人格なわけで。
経営者が死んだって会社が事業を通じて社会に価値を提供し続けるシステムとして機能していればいいと思うんですよね。

経営者が変わっても成長し続けられる状態にしておかないと会社経営としてはサステナブルじゃない。

会社としてすべきことをしながら、個々人の構成員が自分のやりたいことを追求できるような、会社としての器を大きくし続けるみたいなのは、永遠の課題なのかもしれませんね。

「大人」とは何か?「一流」を掘り下げる

金子: うんうん。あー、それすごくいいところに触れてるのかもね。

大人になるってことはね、相矛盾するトレードオフが存在する事に気づき、それをどこでバランスさせるかを、どれだけ発想豊かに出せるかだと、個人的に思っていて。

結構こういうの多いじゃないですか。売上増やしたいなら在庫積むしさ、コスト削減したいなら在庫圧縮するしさ。コロナだって自粛すれば経済は止まるけど、経済活動を加速すると感染者は増える。トレードオフだよね。

対談風景

トレードオフに気づき、相矛盾するもののバランスを上手く取る。バランスをとり続けるために思考し続けるのが一流の大人何じゃないかと思うんだよね。

こっち!みたいな単純化は子供だよね。
こういうトレードオフがあるけど、今の状況を鑑みるとこうやってバランスするのが良いみたいなのを関係者にちゃんと説明して動かせる人。
もちろん状況が変わったらそれを変えていく。

これができる人は大人だと思うなあ。

長森: 僕もそう思います。サードパスがいつも見つけられる人。AかBか、ではなくCを探せる人。

さっきの経営の議論も、人間は経営資源で取替可能なパーツとして管理すべきという経営論と、人間はすべて個別特別なので自由にさせるべきって2つの極端な議論でもあると思うんです。
これをどっちかに振り切るんじゃなくて、どっちも正しいエッセンスがあるので、状況に応じてバランスさせていく。
例えば小さい会社のうちは管理よりも自律性かもしれないし、組織が大きくなると一定のルールは必要になるよねみたいな。

二項対立のバイアスにハマっている事に気づき、バイアスをブレイクして、発想豊かに別の可能性を見つけられる、これが出来たら一流だなって感じしますね。

金子: 僕たちは全く求められていないことを語っているのかも。(笑)

長森: これは台本無しの弊害かもしれません。(笑)

金子: (笑)

長森: そして実は所定の時間は残り3分なんですよ。(笑)

金子: 本当に?(笑)

長森: あと4つ質問があるので行けるところまで行っちゃいましょう!

ここから先は要点だけお送りします。

「コロナ禍はこれからのコンサル業界の新卒採用にどう影響してくるのでしょうか。」

Q4

金子: あー採用ね。他の会社のことは分からないからうちのことを話すと、中途採用を減らします。これ言って良いのかな。(笑)新卒の方はいじらないつもり。

コロナ禍での採用事情

ただしコロナの本当のインパクトはまだ誰にもわかりません。今のプロジェクトってコロナの前に予算が組まれたものだから動いてるけど、来年の春ぐらいからは予算にもコロナの影響が出てくるので、そこからが本当の勝負だと思います。

あと、この状況の中でみんなが思ったことがあって、「事業ポートフォリオが大事なんだな」ってこと。やっぱり沈む業界、例えば観光業とか飲食業、がある一方で、伸びる業界、例えば事業再生とか公共事業、もあるんだよね。そうなると広く手を伸ばしている総合系が強い。こういう幅がコンサルに限らず、今後求められてくるんじゃないかなと思ってます。

「人たらし的なスキルを身につけるとしたらどのようなことを意識すればいいと思いますか?」

長森&金子: これまた難しいのが来ましたね。(笑)

Q5

金子: 僕の考えでは、その手のスキルはもう出来上がっているものだと思います。その人の来歴ってやつに依存するもの。どれだけ人と出会ってきて、考えてきたか、ですね。ここはエリート主義です。(笑)

長森: えー。(笑)

人たらしの本質

金子: ただこれだけじゃ味気ないので一つ加えておくと、どれだけ相手の立場になって考えられるか、が重要ですね。
人ってのはパーソナリティと役割の掛け算なので「この人ならこれ」「この役割ならこう考える」みたいなことを想像できるといいですよね。如何でしょうか。(笑)

長森: 僕は先天的なものってよりも結構開発できるんじゃないかって思ってます。

金子: 僕も先天的とは言っていない、ただ既に出来上がっているものだってこと。

長森: まあ、人と人との話なので相性は大きいですよね。僕自身、全然人たらしではないですけど、たまに「長森さんって人たらしだよね」って言ってくる人が居るんですよ。(笑) それはたまたま僕が刺さったってことです。(笑)

あと大事なのは「どれだけオープンでいられるか」だと思います。どれだけ自分をさらけ出して、相手を受け入れられるか。クローズな人にはついて行かないですもん。

「器が大きい」ってことになるんですかね。

金子: 長森さんの言葉で言うと「器」かもね。

長森: 意識的にやるべきことってなると想像力を働かせることですかね。

金子: そうそう。それには情報量が大切。だから僕は「本より映画観ろ」ってよく言う。

長森: あ〜映画はいいですね。
あと重要なのはトライアンドエラー。「これやったら怒るかな?あ、怒った」とか「これで喜ぶかな?あれ、あんまり喜ばなかった」とか。この意識的な行動の経験値が溜まっていくと強いです。その意味で意識的に開発できるスキルではあると思います。

「大学一年生です。コンサルを目指す上で在学中にやっておいた方がいいと思うことを教えいただきたいです。」

金子: あ〜一年生のうちから決め打ちはいかん、です。

長森: もっと世界を知りましょう。(笑)

Q6

金子: 色々な人生があり得るので「働くのか、働かないのか」みたいな抽象的な分岐点からしっかり考えていくと良いと思います。

それでもなお「コンサルに行きたい!」と思うのであれば、頭を使う訓練をしてください。一番手っ取り早いのは大学の授業をちゃんと受けること。文系、理系問わず学問をちゃんとやると頭は使われます。

長森: 理系の研究者で経営コンサルタントって人、多いですよね。学問をやると概念的なことを扱うので頭が鍛えられる気がします。

金子: うちにもたくさんいます。(笑)
もちろん「ずっと遊んでました!」って人でも問題ないんです。ただ、頭が使える人であって欲しい。

学生のうちに広く世界を見るべし

長森: あとは学生時代にやっておくと良いことと言えば「旅する」ことですかね。

金子: 良いよね、色んな意味での「旅」。自分の知らない世界が見えるから。
もっとベタにいくと「友達を作れ」だね。友達大事。

長森: 友達って大事ですね。
別に仲は良くなくて良いんですよ。ただ顔見知りで、チャット送れば話せる、みたいな関係性。こういう関係って社会人になると中々作れないんですよ。どうしても利害関係が生じちゃうんで。困ったときに学生時代に知り合った意外な人が助けてくれた、なんて話はよくあります。(笑)

金子: 本当に人間関係は資産だよね。ソーシャルキャピタル。

長森: 派生して何か学生時代にやっておいた方が良かったな〜って思うこととかありますか?

金子: 僕はね、留学だね。英語が嫌いで嫌いで20代のときはひたすら逃げまくった。でも結局やる羽目になったから「遠回りしたな〜」って思いましたね。(笑) 短期留学でも良いから英語はやっておいた方が良い。

長森: もう一つ上げるとしたら、「大失敗」ですかね。

金子: それは分かる。

長森: 本気でやって失敗して「もう死のう、、、」って思えるぐらいのことをやっておけば良かったな〜って思います。僕、学生時代、全然チャレンジしなかったんですよ。

金子: 今の時代なら会社作って潰すってのが良いよね。別に絶対に潰せって訳ではないけど。(笑)

長森: そういう経験は大事ですね〜。

「今まで学生に関わってきたなかで、心に残っている学生の特徴などあれば教えていただきたいです。」

金子: 特徴なんで無いです。うちに入社してくれた子はみんな心に残ってます。なのであえて特徴を言うとすれば「うちに入社してくれたこと」ですかね。(笑)

長森: (笑)

金子: 半分本音で半分冗談ね。

Q7

大事なのは「どれだけ自分で考えているか」ですよ。

極論頭使わなくても就活できるし、社会人も出来るし、生きていける。それでも自分で考えて考えて「こう思う」っていうのを持っている人は違うよね。
そういう人と話すと大人と話しているような気になる。そうするとこっちもしっかり集中して話そう、って構える。それは印象に残るよね。

僕と長森さんは10個以上歳が離れているけど、長森さんはしっかりと考えるタイプの人だから話も合うし、僕もしっかり考えようって思う。

長森: それはめちゃくちゃ同意ですね。自分の言葉で喋っているかどうかってすぐ分かりますもんね。

金子: 分かる。

長森: そこですぐに「あーこいつ考えてないな」とか「お、この子良いじゃん」とか感じます。

学生のうちに上下幅広くしゃべるのが大事

金子: あーでも一個だけ言わせて。こういうこと言うと「社会人の人と話すの怖いな」とか思っちゃって社会人とのコミュニケーションが落ちちゃうこともあると思うんだよね。

それはすごく勿体ない。学生の子のコミュニケーション相手ってほとんど同世代の子じゃん。あとは親世代。でも就活っていうのは「その間の世代の人と話すアクティビティ」なんですよね。

コミュニケーションっていうのは経験がものを言うからどんどん社会人と話して欲しいと思います。

長森: 知らないおっちゃんに「こいつバカだな」って思われても何も痛くないですからね。
たくさん大人と喋った方が良いですね。僕も若いとき、色んな業界の人と喋って「バカだな」って思われる質問、たくさんしてたんですね。でも、今振り返ると「たくさん話していて良かったな〜」って思います。

金子: 慣れですね、慣れ。

「なぜコンサルティングファームから転職したのか?」

質問者: 最後に質問良いですか。長森さんってPwCを出てから1年間VCに居たというお話だったじゃないですか。そこの目的で行かれたんですか?

金子: それ聞きたい。(笑)

コンサルは完全にミスマッチだった

長森: そうですね、実は当時、もともとでいうと、僕ベンチャーキャピタルに行くつもりはなかったんですね。僕が嫌だったのは「何故目の前の知らないおじさんに頭と体を使っているのか?」っていうことなんですよね。(笑)

金子: 完全にこれ採用ミスだよね。(笑)

長森: 採用ミスですね。(笑)
PwCにいた当時、コンサルティングの仕事は、短期的、局所的、散発的、抽象的だなって思っていたんです。
これはあとになって整理できたことなんですが。当時はただストレス溜まるなあって感じだったんです。

かつ学生時代にスタートアップで働いていてそれがめっちゃ楽しかったので、もともとは、スタートアップに行こうと思ってたんですよ。ただこれも逃げの思考で「コンサルが嫌だから事業会社に行けばハッピーになれる」っていう。
あとでかい会社は嫌だっていう学生時代からの思いもありましたね。

基本的に全部逃げの思考です。(笑)

長森

そういうことを考えていたときに、縁あってその会社からスカウトを受けたんですね。その会社の目指していたことが「世代をまたぐ社会課題に取り組み、産業を創造する事で社会に貢献する、それができる100年続く会社を再現性高く立ち上げ続ける」っていうことだったんですよね。

で、よくよく話を聞いていくと、「長期持続的に、構造的な変化を生み出すために、連続的に事業を積み上げ、実際的なインパクトを出す」事を志向しているなと感じたんです。端折って言うと、これがめちゃくちゃ本質的で、PwCで感じていたハマらない感じと真逆だったので、これだ!と思ったんですね。

(小難しい専門的な話なので興味がない人は飛ばして下さい。)

難しい話になっちゃうんですけど、普通のベンチャーキャピタルってLPって言って、大金持ちとか金融機関に営業に行ってお金を貰って「このファンドに入れてください、利回りは何%です」っていうのを約束して、ベンチャーに投資をするっていう形で運用して、20年後にファンドを解散してお金を投資家に約束の利回りで返して、残った額を得るっていうビジネスモデルなんですよ。ベンチャーキャピタル含めいわゆるファンドっていうビジネスは。

で、そうするとどうしても「時限付きの投資」になっちゃうんですね。「今入れた案件は5年後までにイグジットしないと、みたいな。未上場株って価値にならないので、上場するか、売却して株に価値を確定させないとベンチャーキャピタルってのはビジネスが成り立たないので、基本的に短期目線になるんですよね。かつマネーゲームになるんで、コンサルと一緒で、「そんな仕事やりたくない!」って思いました。(笑)

質問者: お〜

長森: でもREAPRAっていう会社は自分たちのお金だけで投資する「プリンシパル投資」ってのをやっていたんですね。なので時限がない。100年持っても良い、っていう前提なんですよね。

質問者: なるほど。

長森: そこのファウンダーが、僕がパッと思いつく一流のビジネスパーソンだったんですよね。ってか他にそのレベルの人を見たことがないっていうぐらい凄い人で、その人の経営哲学をベンチャーキャピタルとその投資先のファームに強く埋め込んでいって、本当にその、世の中を良くする、産業という人間の生活をよくしていく営みを大きくしていく、ってことを、株式会社の投資家って立場から、経営者の学習を支援する、っていうことを通じて実現していく。

小手先のテクニカルな支援ではなくて、経営者が人間として成長しないと組織は大きくならないので、そこをアプローチしていくやり方をするっていう。物凄く本質的かつ時間軸が長く人と向き合っていき、実際にものを動かそうとしていくっていう。

質問者: あ〜

長森: あと単純にそれを体現している人がファームのリーダーだったので、知見があるんじゃないかな、と思って。僕が期待していたのは、当時コンサルティングファームに対して嫌だな、と思っていたことと、それのアンチテーゼ的に、それをやろうとしていた投資会社であり、かつ、ナレッジが凄く溜まっていそうだったのでそれにアクセスできるんじゃないか、という下心があり、その会社に行きました。

質問者: なるほど〜ありがとうございました。

長森: はーい。

締めの言葉

長森: 他に何かありますか?無ければここらで閉めさせていただきたいと思うのですが。参加してくださった皆さんは是非フィードバックをください。次回に活かしたいと思います。

金子: そうだね。

長森: 何か締めの言葉ありますか?

金子: あの〜こういうのってオンラインの良いところだと思うんだけど、ダラダラ出来るんですよね。(笑)

長森: (笑)

金子: 僕、最近結構こういうダラダラしている放送をよく見るんですね。で、結構得られるもの多いな、って感じてます。ここ来なかったら気づかなかったことですね。

尺があるものって、こうキュッキュっとしているじゃないですか。でも、今ってある意味尺無限じゃないですか。(笑)

だからこういう時に本質をちゃんと喋れる場があることはとても大事だと思うので、是非この場を何回か続けていけると良いし、もちろん、参加者の皆さんからもっと色々と言ってもらえる場を作らなきゃいけないなって思ってます。これは僕の反省ですね。

とは言っても僕も長森さんもコンサルなので、とにかく変えることが大好きなので(笑)

長森: (笑)

対談風景

金子: 100点満点を目指す気はさらさらないんですね。65点でまず世に出すっていうことがコンサルなので。(笑)
是非65点を70点にするような容赦ないフィードバックを待っています。

今日はどうもありがとうございました。

長森: ありがとうございました。是非シリーズ化して楽しくやっていきたいと、激しく議論していきたいと思ってます。

金子: 僕、採用をやっている中で、ここまで本音で喋ったことないです。
やっぱり大人なんで気を遣っちゃうんですよね。

長森: 本音でしたね。
じゃあまた来月ぐらいにまたやれたら良いですね。

金子: はーい。

長森: 自己満になっていないか、の自戒も込めて厳しめのフィードバックお願いします。
ではでは今日はありがとうございました!

金子: ありがとうございました! 

終わりに

いかがでしたか。
クローズドなイベントならではの本音前回のトークをご紹介しました。

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