第二弾!PwC現役Director vs PwC出身起業家で本音討論|コンサルタントとキャリアの本質とは(1/2)

PwC現役人事DirectorとPwC出身起業家のオンライン対談

PwCの現役Directorであり、新卒採用リーダーの金子賢典(Kensuke Kaneko)さんと、PwC出身の起業家でもあるWILL CAREERの長森健太(Kenta Nagamori)のオンライン対談第2弾を2020年7月10日に実施しました。(第一弾はこちら)

コンサルタント、起業家、ベンチャー、大企業といったキャリアの文脈から、大人とはなにか、どう生きるのかといったより本質的な論点に至るまで縦横無尽の本音議論についてご紹介します。
なお、本イベントはオンラインで実施されたため、挿入している画像の画質が荒い事がありますがご了承ください。

全2回に分けてお送りします。


オンライン対談開始

長森:皆さんこんばんは。長森です。PwCの現役Directorの金子さんとPwC出身の起業家である私の対談企画の第2段になります。
今回はPwC側で告知していただいたので、金子さんから趣旨の説明をお願いします!

金子さん:みなさん、こんばんは。PwCの金子です。今日は2回目のオンライン対談となりました。ということで、新卒でPwC、現在は起業をされている長森さんと前回同様対談していきたいと思います。

長森:皆さん、よろしくお願いします。

金子さん:長森さんが独立されているように、コンサルってやっぱり定年まで勤め上げるものじゃないんですよね。遅かれ早かれどこかで出て行くんですよ。そうなると、やっぱりコンサルのあとどんなことするのかって気になると思うんですよね。

別に起業するというのが絶対な正解ではないんだけども、そういう方も一定数いると。そういった人からの目線でコンサルタントという仕事について語っていただきたいと思っています。長森さんに語ってもらうというより、二人でくっちゃべるという方が正しいと思うんだけどね。(笑)台本もなしっていうことで。

長森:そうですね。(笑)台本は無いんですけど、イベント前に質問を募っていたので、それに答えていく形になりますね。

金子さん:その質問をくじ引きで選ぶんだっけ?(笑)

長森:そうですね。それに二人でコメントしていく形です。

金子さん:多分、私と長森さんは違うことを言うと思います。どっちを信じるかは、皆さん次第です。(笑)まぁ、実際はそれぞれの見方があるってことですね。会社ってワンボイスでは無いんですよ。いろんな側面があって、いろんな人の意見が混在しています。なので、皆さんによりPwCを知ってもらおうと言うことでこのイベントを開催しました。ということで、長森さんお願いします。

長森:はい、じゃあ進め方も含めて自己紹介させていただきます。初めまして、長森と申します。2016年の4月に新卒でPwCに入社。その時の金子さんは新卒採用ではなく、研修リーダーを担当なさっていました。あれ、あの年が金子さん研修担当最後の年でしたっけ?

金子さん:そうそう、あそこで人はもう育たないと思ったんで、、(笑)正確にいうと、研修では人は育たない、と感じたので採用に移りました。

長森:そういうことですね。(笑)一応、その育たない研修で1位を取り、その後、新規戦略やプライシングなどの一見華やかなプロジェクトを経験した後、Reapraというシンガポールのベンチャー企業に投資をしている会社に移りました。

そこでは、起業家探しとか、投資先への支援、起業家へのいわゆるコーチング的な仕事を1年ほどしていました。その後、起業家と交流している中で、自分も起業したいなという気持ちが湧いたので、今は教育・人材の領域で株式会社ExPAという会社を経営しています。最後に会社の詳細は共有できたらと思います。

自分の経営する会社が教育・人材系なので、金子さんに一緒に何かできませんかと相談したところ、前回のイベントが行われたという感じですね。前回のイベントがなかなか好評だったので、今回も色々本音で話し合えたらなと思っています。参加者の皆さんにも勇気を持って議論に参加して欲しいので、ミュートを解除して意見をいただけるとありがたいですね。

長森:イベント進行ルールなどは前回のイベント記事を参考にお願いします。

金子さん:お願いします。では、やっていきましょうか。

長森:質問の抽選システムをさっと作ったのですが。皆さんから事前に頂いている質問プラス適当に足した質問があるので、これで選んでいけたらと思います。大丈夫ですかね?

金子さん:ぶっつけ感あるね。(笑)それでいきましょう。

社会課題への携わり方を掘り下げる

長森:では、早速1個目の質問は…。

私は、一個人の価値を最大限に活かし決裁権を持って、社会インパクトを与える多事業に携わり、最終的に自らが社会変革の根本に一影響を与えたくコンサルタントとして、特に環境分野での寄与を目指しております。理由は、SDGs採択により投資傾向を鑑み企業は環境対策を踏まえたビジネス転換が求められ、当分野への対応需要が高まるとされる現状がある為、そして何より幼い頃より環境寄与を目指す為です。小学生より環境団体に所属しドイツ研修に参加した際、公共交通機関利用を促し、排出ガス削減が目的の「park and ride」制度が浸透していました。地球を取り巻く環境問題の解決の為には、根本への枠組みへ社会効力を出すべく、ステークホルダーを巻き込む重要性を目の当たりにしました。よって、研究開発等を通じ社会の川上で技術的に寄与するのでなく、直接社会と接するより多くの事業改変へ専門性を発揮した支援を通じ、最終的に私のキャリア全体で環境問題という社会課題寄与を志しております。ESG投資対策・企業の中長期的価値提供へ向けたCSR活動への施策提言や、市場拡大が見られ企業成長の鍵となりつつあるITと環境掛け合わせ、各企業・技術同士を繋ぐプラットフォーム提供等の新規事業支援にも携わりたく考えます。特に、環境分野は社会貢献性が高く、消費者にとって「want」であり「need」になっていない為、利益創出ができず、「ビジネス」としての新規開拓は難しいと考え、いかに自分ごととして関心を持ってもらうかのマーケティングが重要と考えます。実際に前例のある環境分野等貢献性の強い分野への事業支援のお話・本分野でビジネス展開の見込みの有無、そのアプローチ法へのご意見を頂きたく存じます。

長森、金子さん:・・・。質問が長い。(笑)

金子さん:最初なので軽めに答えると、PwCでもSDGsに絡めた環境に関する課題解決、社会をサステイナブルに回していくためのイノベーションへの取り組みを行っています。やってはいるのですが、これがうちの会社のメインストリームのビジネスかというと、残念ながらそうではないんですよね。

そういう専門の部門もあるっちゃあるんですけど、その部門の人たちもそれ以外の仕事もしています。なので、よくオススメするのは「自分の人生でこれに注力したいというのが明確で決まっている」のであれば、そういった専門のことをやっている会社に行った方がいいと思っています。

今の時代は、一般企業だけでなくNPOやNGOで生きていく道もあると思うので、利益を求めるいわゆる一般企業ではなくて、そちらのセクターを考えることもありかなと思います。そちらの方が適材適所なのかなと。

長森:基本的に金子さんと同意なのですが、あえて別視点を入れて考えるとすれば、社会課題に対しては色々な携わり方があると思っています。金子さんがおっしゃいてたNPO、NGOという携わり方もあるし、資本主義の根源である株式会社として関わるのもありだと思います。

というのも、私がベンチャーキャピタルにいた際に、社会課題に取り組む起業家というのはたくさんいて、そこでポイントだったのが、解決策が分かっている問題に、起業家として取り組む意義はあまり無いのではないかという話をすることがよくありました。

そもそも完成系がわからなくて、世の中が動的に変化している中で、現状と理想をどうブリッジしていくか考えたときに、今の段階で自分たちができることを一つずつ積み上げていって、そのできることを大きくしていくしかないと基本的には思っています。予め解決までの線を引いてそれをたどればいいほど単純な課題じゃないからこそ取り組む意義があるわけで。それをやっていく中での選択肢に「起業」という道があるのであれば、その人はチャレンジするべきで、そういう人に支援をするというベンチャーキャピタルでした。

例えば、そこで出会ったある起業家はリサイクルとかの領域、いわゆる静脈産業で会社をやりたいと話していました。
(自然から採取した資源を加工して有用な財を生産する諸産業を、動物の循環系になぞらえて動脈産業というのに対して、これらの産業が排出した不要物や使い捨てられた製品を集めて、それを社会や自然の物質循環過程に再投入するための事業を行っている産業を、静脈産業と呼んでいます。)

その静脈産業のやり方がとても非効率になっている、それをどうにかしたいということで株式会社として、利益を求めながら解決し、長期的に社会貢献するという方法を彼は取っています。それが絶対解とは言わないですが、仕上がりがどうなるかわからない社会問題に取り組むためにできる一つの方法であるということですね。

時間軸を長期的に持つことがポイントなのかなと思います。その時に、金子さんがおっしゃるように、できるだけ関係ないことをやりたくないのであれば、直接的に触れることのできる組織に行く方が多分やりがいとかに繋がるのではないかなと思います。

金子さん:そうなんだよね。強い気持ちがあると、他の仕事をした時にOpportunityではなくNoiseとして見えてしまうことがある。それは当事者、会社、どちらにとっても良いこととは言えない。なので、どこまで自分の意思が固いのかで判断するのが良いと思います。

長森:結構やりたいことに近い領域で仕事ができているときは、いわゆるブルシットジョブ(つまらない仕事)の中にもやっている意義を見つけられるので、金子さんのおっしゃった通りだと思います。

金子さん:ちなみに、もし自分がこの質問したんだけど、その答えじゃ足りないっていう人は発言していいんだからね。

長森:置きにいったなって思ったら、全然刺してもらってかまわないので。(笑)

金子さん:(笑)こちらはどんどん先に進めていこうとするので、なんかあれば止めてください。

長森:ちょっとたくさん質問がありますので、次に行きましょう。では、ガラポン…

仕事とプライベートは分けるべき?

プライベートの時間と仕事の時間をどのように配分していますか?

金子さん:いいねー。(笑)軽い質問でいいね。(笑)

金子さん:あのね、これは人それぞれだと思っていて。個人的に、僕は仕事とプライベートカチッと分けないんだよね。家に仕事持ち込みまくるし、仕事にプライベートも持ち込むし。(笑)あまり、綺麗に切り分けないほうが僕には向いているかな。これは僕の話だけど、若手コンサルタントとして長森さんはどう過ごしていましたか?

長森:僕も配分っていう感覚はなかったですね。もちろん土日に資料を作るとかはほぼなかったですけど、土日に外出ている時とかに、当時のクライアントのビジネスモデルにこれ似てるとかで思考を巡らせる事はよくありましたね。例えば、コピー機の会社がクライアントだったときはコピー機見つけるとどこの会社のだろうとか、どうしてその会社なんだろうとか。デートしている時に、入ったお店の売り上げがどれくらいなんだろうとか考えたり。(笑)そういう考えは常に持っていましたね。

金子さん:デート中。(笑)モテなそうだけど大丈夫?(笑)

金子と長森の談笑

長森:そうなんですよ。(笑)それは置いといて、常日頃学習するという意識は持っていました。プライベートで考えていたことが仕事に役立つこともあるし、それの逆もあるし。PwCにいたときはあまり意識していなかったですけど、VCにいってからは意識するようになりましたね。
プライベートで出ている癖が仕事の中でも出ているのではないかとか考えましたね。なので、話を戻すと、明確に切り分けるというよりは両方を学習の場として活かして、自分のやっていることに結びつけていくと楽しくなると思います。

金子さん:うん、土日とか深夜に働くことはやめた方がいいと思いますが、結局24時間、365日コンサルタントになっしまうんですよ、おそらく。プライベートのことが仕事に使えるという意味では、やっぱりオーバーラップしてるところがあるってことだよね。

これはコンサルタントに限らず全ての職業に行けることだと思います。お医者さん、弁護士、学校の先生とか。学校の先生だって、子供にどう学んでもらおうかとか、多分ずっと考えてると思うんだよね。そういうことを考えない仕事もあるかもしれないけど、それは仕事ではなくて作業になってしまってるのかもね。

長森:うん、うん。そうですね。

金子さん:だから、仕事をしている人たちはある程度のオーバーラップが発生しちゃうと思う。一見、今の時代に逆行するように聞こえるけど、それが良いのではないかなって思うよね。

長森:そうですね。休みの日は作業はしませんね。何かしらのインプットはしますけど。

金子さん:でしょ。

長森:どんなところでも学びの場にできるといいですね。

金子さん:そうだね。

長森:他に突っ込みたいところがなければ次に行っちゃいます。はい…

「逃げ」のコンサルはナシ?

自分の人生のテーマ設定を見つからなかった場合に「逃げ」としてコンサル業界に就職するのは得策ではないのでしょうか?

金子さん:なるほどねー。では、まず長森さんから答えてもらおうか。

長森:まぁ「逃げ」のニュアンスによってですが…。Yes or Noで単純には答えられないですけど、逃げでコンサルに入ったとしても、僕みたいにすごくつまんないと思いながら仕事しなくちゃいけなくなると思いますね。

金子さん:(笑)

長森:まぁこれはどこに行ったとしても、「逃げ」ているうちは自分が納得できないというか、プラスにはあまりならないと思います。さらにいうと、コンサルやっているうちにやりたいこと向こうからやってくるっていうのは幻想に過ぎないと思います。(笑)
僕はそれで見つかった人に出会ったことがないので。結局人生のどこかで大きな出来事にぶつかった時、自分を見直さなけらばいけない時がくると思うので、「逃げ」のコンサルが得策かと言われたら、得策ではないと答えます。

金子さん:うん。

長森:基本的には、テーマを見つけるとかは学生のうちにバシッと決めなくてもいいので、考えてみるといいと思います。僕の場合はそれが全くなかったので…。コンサルに限らず「逃げ」の選択をしていると後々後悔してしまうのではないのかなと思いました。金子さんはどうですか?

金子さん:だいたい一緒かな。大学の延長でコンサルに来るのは好ましく無いと思っているんだけど、無しでは無いよねって思っているタイプです。(笑)
実際、僕もコンサル入ったときはこれがやりたいってのはなかったね。もともと学者になりたかったけど、一回会社入った方がいいかなって思ったんですよ。2,3年したら大学戻るかなって思っていたんだけど、コンサル行ったら楽し過ぎたんですよね。

それで残っているっていうキャリアなんですよね。キャリアってかっこいいほどでもないけど。(笑)なので、「逃げ」のコンサルを完全否定するわけではない。だけど、テーマ設定の時に、具体的なことじゃなくても、抽象度をあげて考えるだけでも良いと思う。抽象度あげたら何かあるはずなんですよ。「人を楽しませる仕事をしたい」みたいなレベルの抽象度でも良いので、何かあるといいと思う。

あれば良いと思う理由は、それがあると頑張れるから。自分がそこにいる意味づけが少しでもできるから。なんせ仕事には大変な局面はたくさんありますよ。僕も長森さんも遊んで暮らせるなら遊びたいくらいですから。

長森:(笑)

金子さん:誰もやりたく無いから仕事をするとお金がもらえるわけだ。そこで誰が自分のモチベーションを0にしないで助けてくれるかというと、やっぱり自分なんですよね。その時の支えになるのは自分がそこにいる「理由」ですよ。そこがコンサルでの仕事につながっていないとすぐ疲れちゃうよねっていうことですね。

長森:そう思います。確かハーバードかどっかの研究で、モチベーションに関する興味深い研究がありまして。モチベーションには6種類の要素があり、キャリアへの満足度に対してポジティブが3つ、逆相関するのが3つずつあるんだそうです。

一つがPlayで、仕事に楽しみを見いだせていること。仕事の内容自体が面白いって状態で仕事している人は、このPlayが大きなモチベーションになっていると思います。
2個目が、Purposeで、仕事に対して意義が見いだせていること。今やっているものが世の中のためになっているみたいな。若干社会貢献文脈があるんですけど。
3つ目がPotenrialで、仕事の中で自分が成長している、ポテンシャルが広がっているというのを感じる。これは能力的な話もありますがわかりやすいのは昇進しているみたいなはなしですね。
この3つのモチベーションを持っている人は、次に上げる3つのモチベーションで仕事をしている人よりもパフォーマンスが優位に高い傾向があるみたいなんですね。

それ以外の3つのモチベーションは、経済的圧力(Economic Pressure)、社会的圧力(Emotinoal Pressure)、そして惰性(Inertia)なんですね。
生きる日銭のために働くとか、世間体で働くとか、昨日も働いていたので働くって事ですね。
この「逃げ」でのコンサルっていうのは惰性になるんじゃないかなと思っています。やめる理由が無いから続けているみたいなのですね。僕の最後のPwCの数ヶ月とかは惰性に近かったと思います。(笑)プロジェクトによっては楽しいというのはたまにありましたけど、意義とか0でしたからね。(笑)

VCに行った時に初めて楽しみとか意義が大きくなっていきました。その大きなきっかけが自分についての理解が深まったことでした。これまでなんで自分は逃げてきたのかとか、逃げずにやれていたときってどんなときだったとか、整理していたら自分は表面的なことはやりたくないと思っている事に気づいたんですね。そこから、「本質的なことをやりたい」っていう風に思い始めて。本質的って言葉の定義とか話していくと長くなっちゃうので割愛しますが、こういうテーマが見えてくるとモチベーションを見出しやすくなるかなと思います。

自分のやっていることが本質的だなと思えると楽しいんですけど、それ以外の表面的なことをやっているとめちゃくちゃネガティブに考えたりしてて。僕の経験から振り返ると、「逃げ」で惰性で仕事しないためには、モチベーションの源泉になる何かしらのテーマがあると良くて、そのためには自分を知る必要があるってことですかね。

参考:長森が言及したモチベーションのフレームワーク(HBRよりWILL CAREER作成)

長森:そんなところですね。追加で何もなければ次に行きます。

働く意味、人生とは

働くとは何か。人は何のために働いているのか。自分で出した答えを正解にしていく生き方とは。」

金子さん:おー、素晴らしい。

長森:哲学っぽいですね。じゃあこれは金子さんからいいですか?

金子さん:お、僕からか。まさに哲学っぽい話なんですけど、働くというよりは、生きている意味にフォーカスを当てたいと思います。

僕はね、世の中のメカニズムを知りたいんですよ、本質を知りたいんです。これが原動力だね。

例えば、昔の哲学者で「万物は流れである」と言い切った人がいます。これが正しいかは別として、超カッコいいでしょ。彼はこれを信じて死んだんですよ。僕もそうなりたい。だからね、僕も死ぬ前に最後ツイートします。「万物は〜」って。そのツイートを僕は生きながら考え続けているんです。
それを考える材料の一つとして、仕事ってすごい大事なんですよ。というのも、いろんな仕組みがわかる。それだけのために働いています。つまり僕は知的好奇心だけで働いていますし、生きています。

長森:なるほど。

金子さん:だから僕は同じこと2度できないんですよね。学びがないから。

長森:それは学べてないだけじゃないですか?

金子さん:うわー、さすが。(笑)そうなのかな。2周目には2周目の学びがあるのかな。でも、なくね?(笑)

長森:どうなんでしょうね。(笑)この学習議論は持論があるんですが、長くなるので割愛します。(笑)

本題に戻って。人生の意味って哲学の中心的テーマだと思うので色んな意見があると思いますが、僕の主張を述べます。

基本的に僕は幸せになりたいと思っています。幸せになるってなんだろうっていうと、いまだにわかってないんですけど。何となく、死ぬ時に幸せだったなと思って死ねることかなって思っています。人間って基本的に幸せだったかどうかって後知恵で、振り返ってしかわからないと思っているので。

脳のメカニズム的にも、経験する自己と、物語る自己という2つの自己があるという考え方があります。この呼び方は色々あるんですが、ぱっと思い出したのがこの表現なのでこれでいきます。

経験する自己はその時の、その時々の意識です。怪我したので痛いとか、裏切られたので苦しいとか。でもこれはあくまでその時限定の意識・感情なので、効果は持続的なものではありません。例えば怒りの感情って最大で2時間しか持続しないそうです。

人生に意味を見出すのはこの瞬間的な経験する自己ではなくて、物語る自己の方です。経験する自己は一瞬の認知プロセスで、何も覚えていないので、私達が「考える」とか「思い出す」ときは物語る自己が登場しています。物語る自己が自分の人生に意味づけし、物語に昇華します。そしてその物語が、経験する自己がどう感じるかを決定します。例えば同じ空腹でも、お金がなくて食べれないときと健康診断のために食事を抜いているときとダイエットのための食事制限をしているときでは、それぞれの物語が違うので、空腹の感じ方が異なるんです。

すると、死ぬときに幸せだったと思えるかは、自分の人生の解釈の総和である「物語る自己」が、死ぬそのときに「自分は幸せだった」と「経験する自己」が感じられる状態であるかという問題だということですね。

物語る自己は、自分が人生や物事を見るときのフィルターとも言い換えできます。突き詰めると死ぬ時に自分は幸せだったというフィルターを作れるかだと思うんですよね。そうするためにはフィルターづくりとして、どういうものに報酬を感じるのか、幸せを感じるのかを認知しておく必要がある。さらに、それってステージによって変わっていくんですよ。成長発達段階とかいって学問的にも研究されている分野で。

長くなりましたが、自分をメタに見て、発達段階に合わせて報酬系をアップデートして最後に幸せだったと思えるフィルターづくりのための実践の場として仕事してるというのが今の僕の理解です。

金子さん:なんか二人とも小難しいことを言っているけど、結局自分のためってことだよね。だけど、そのフィルターっていうのも自分だけでは作れない。自己中心的に作られたフィルターだけでは幸せにはなれないでしょうね。

長森:そうだと思います。人によって幸せって変わりますしね。少し思い出したんですけど、「野心」「大義」っていうのがあって、「野心」は自分の世代でどれだけ出来たかみたいな話で、「大義」は次世代に繋げる何かが出来たかという話なんですけど。
自分だけでフィルターは作れないってさっき金子さんがおっしゃっていましたけど、他人や社会をしっかり巻き込めたらその「大義」の方につながっていくのかなって思います。

もう一つの質問が、「自分で出した答えを正解にしていく」ですけど。

金子さん:これは無理なんじゃないかなー。こう思えていたら解脱していると思うので。(笑)けど、やっぱり自分以外の正解、不正解の解釈もあるよね。社会に繋がる限り、変動はするものの価値基準が存在するわけで、それを共有してうまく生きる。これだと思うね。なので、全てを自分の正解にしちゃいかんよってこと。

長森:なるほど。深い。

金子さん:年を取るほどこういう風にコンサバになっていくわけよ。(笑)

長森:(笑)相対的に見がちにはなりますよね。

金子さん:この話をしているとキリがないね。

長森:じゃあここで一旦切って、次の質問に。

コンサルは起業家と正反対?

世の中の職業を便宜的に2軸で整理するとコンサルタントはどのような位置付けになるのでしょうか?その時真逆になるものは何でしょうか?また、その切り口から示唆されるコンサルタントの本質についての議論を聞きたいです。

金子さん:なるほど、素晴らしい。

長森:実はこの質問、知り合いにこういうイベントがあるって話したら、これ聞きたいって言われたので面白そうなので入れてしまいました。(笑)

金子さん:そうなの。(笑)まず、僕なりに答えてみますね。コンサルは知的活動でお客さんを喜ばせるサービス業って言っています。知的活動要素が前半にあって、後半にサービス業要素がありますと。頭を使う量を横軸に、サービス業なのか違うのかを縦軸にします。サービス業の定義は、他者を喜ばせるのか否かですね。その時に真逆の仕事は何になるかというと、頭あまり使わないでサービス業じゃない仕事ですよ。そんなのある?(笑)

長森:それって何に当たるんだろう。(笑)

金子さん:例えば、学者とかだとものすごく頭使うけど、他人を喜ばせる仕事というわけではなく、真理を探求する仕事でしょ。そうすると、お隣の象限にあると思うんだよね。うーん、だから僕はコンサルの真逆にある仕事が何かはこの場では言えません。

長森:サービス業じゃないっていうのが広すぎて難しいですよね。(笑)

金子さん:そうだね、ごめん。(笑)軸はもう少し考えなきゃいけなかったね。

長森:ちょっと僕も考えてみますと、頭の使い方っていうベクトルで切れると思うんですよね。横軸は、クリエイティブ系の頭の使い方と効率性を追求する頭の使い方の軸があって。これって僕の中では結構違う感覚なんですよ。縦軸は分析的なのか社会のために実装するのか。つまりAnalyticalなのかPracticalなって感じですね。

クリエイティブ系に寄っていて、Analyticalなのは学者とかなのかなと思います。新しいことを考える中でAnalyticalに頭を使わなければいけないので。逆に効率性を追求してPracticalなのって、実技を伴うと思うので、例えば営業職やマーケティング職など、世の中にある多くの仕事がここに入るのかなと。
そこで、コンサルはというと、効率性を追求しながら、Analyticalなんだと思います。そうするとそれの真逆は起業家になって、なぜなら彼らは新しいことを考え、それを社会のために実装するという意味で。つまり、クリエイティブPracticalである。このクリエイティブに必要なのは意思決定なのかな。その点、コンサルというのはクライアントの意思決定した/するものに対して最適解、つまり効率性を追求する仕事なので。だから、コンサルの真逆にあるのは起業家だと思うんですよ。

金子さん:そうだね、真逆かも。

長森:効率性を追求してAnalyticalだと机上の空論になりやすくて、そうすると経営者にキレられるっていうことが起きるんだと思います。(笑)

金子さん:じゃあその観点で僕から長森さんに質問していいですか。よく聞くのが「僕は経営者になりたいんだけど、まずはコンサルタントになって勉強したい」。これについてどう思います?僕の回答は、コンサルと起業家は真逆だから絶対やめたほうがいいっていうんですが、コンサルから起業家になった長森さん的にはどうです?

長森:僕も逆だなと思っています。経営者になる準備でコンサルタントをするのはセンスがない気がしますね。(笑)
経営者にも色々な種類はあるので、なんとも言えないですが。例えば、プロ経営者になりたいのであればコンサルを通るのはありだと思います。実際にそういうキャリアがあると思うので。

ただ、起業家的なニュアンスでの経営者だと、コンサルでやることとは真逆ですね。コンサルタントは意思決定しないので。なので、オススメはしません。
それだったら、メガベンチャーとかで2,3年目に子会社の社長任せてもらえるような会社があるのであれば、そういうところで擬似的にでもリスクを取って意思決定する経験をしたほうがいいと思います。

金子さん:そうだね。けどね、僕の世代はねコンサルから経営者っていう道しかなかったんですよね。ベンチャーなんか簡単には作れない時代だったし。コンサルだったり、外資でプロフェッショナルを突き詰めながら、途中独立して会社作るとかだったよね。他だと、大手に50歳くらいまで勤め上げて、上まで上りつめるか、子会社の社長になるとかだよね。
なので、多くの人がコンサルにいった時代でした。けど、今は他の道がたくさんあるでしょ。

長森:若いうちはとりあえず始めてみるっていうのがいいと思います。それこそ投資始めてみるとか。あの売り買いって結構ドキドキしますしね。要するにリスクを取るってことですね。ダウンサイドを受け入れて、アップサイドを取りに行くのが基本的に経営者のすることなので。それに比べてコンサルタントはダウンサイドを引き受けないので、だいぶ違いますね。
昔の話で思い出したんですけど、今60,70代で個人で有名なコンサルタントの人たちっていると思うんですけど、彼らが当時コンサルしていた時代って、コンサルファームとしてのビジネスが確立されてなくて今でいうベンチャーみたいな感じだったと思うんですよ。

金子さん:まさにそうですよ。当時は、コンサル?なにそれ?って感じでしたよ。

長森:王道とかだと、銀行、商社とかだと思うんですけど、それ以外の捻くれ者がコンサルに行くイメージですよね。

金子さん:そうですよ、だから捻くれ者しかいないじゃないですか。(笑)

長森:僕が入社した当時に描いていたコンサルタントはすごい変な人で、頭キレキレで、社長にがっつり物申すみたいなものを想像していました。それこそコンサルがベンチャーだった時代を期待してたってことなのかもしれません。

今だと、コンサルが王道ルートの一部になってきている感覚があります。なので、昔のコンサルビジネス自体がベンチャーだった頃に比べると、面白さは減って、成熟した状態になっている。だったら今上がっている環境/組織に自分を置く方が面白い体験ができるんじゃないかなって思っています。
けど、僕はコンサル歴短いので、コンサル歴長い金子さん的にはどう感じてますか?

金子さん:明らかにそうですよ。普通の仕事になりつつあるよね。この流れは変わらないので、特殊なことをしたい人はそういう環境に身を置くべき。なので、コンサルを特殊な仕事だと思って入社するとギャプが大きくてびっくりすると思う。そこは勘違いしないでほしい。だって、今だとコンサルタントっていう人いっぱいいるでしょ。僕が入社した時がPwCは500人くらい、今は約6倍に増えているでしょ。
でも、業績は伸びている。要は、コンサルが普通の仕事として認知され、ある程度の価値も認められているってことなんだよね。なので、変な仕事をするっていうイメージはもうしないほうが良いと思います。普通の企業のステージにきたってことですね。

だって、PwCの同業他社はホワイト企業アピールがすごいんだもの。昔からこの業界にいる僕からすると、ホワイトのイメージなんてできないんですよ。当時は、そんなこと気にもしない人たちが入ってきた会社だったので。だけど、普通の会社に脱皮していくことが必要とされているので、PwCでも働き方改革にすごく取り組んでいますね。

長森:なるほど。ステージが変わってきてるんですね。

金子さん:そう。他の会社に20,30年いないと出来ないような経験が、コンサルなら2,3年で出来るなんて思わないでほしいです。普通の会社なので。
いいね、すごい本音トークになってるね。

長森:超本音ですね。(笑)
前回も少し話したと思うんですけど、かなり納得な説を入手しまして。コンサルタントを続けられる人の特徴が3つあるそうです。1つ目は「他人の成功を喜べる人」、あと「新聞一面系」って呼んでたのがあって。(笑)新聞一面に載るような仕事に携わったっていう事実だけで、ハッピーになれる人のことですね。あともう1つが、「わかっちゃったと思える人」。なんか自分はわかっちゃってスゴイ事出来ているって、思い込める人が長く続けられるって大御所のコンサルタントが言っていました。

金子さん:それは納得です。

長森:では、少しそれてしまったので次に行きましょうか。

金子さん:話が長くなっちゃうね。(笑)

長森:よいしょ。

本質的にコンサルはサービス業

長森さんは入社後はレポート業務などを主としていたと仰っていましたが、「他人の成功を喜ぶ」ような仕事は、入社すぐには体験できないのでしょうか?

長森:出来るんじゃないですか。というか、コンサルタントの仕事は全部「他人の成功を喜ぶ」ような仕事しかないと思います。

金子さん:うん、そうですよ。レポート作成とかも突き詰めると誰かのためにやっていて、幸せにするための作業なんだよね。多分、この質問者は「他人の成功を喜ぶ」ような仕事がもっとフェイストゥーフェイスなイメージなんだろうね。

長森:あ、そういうことか。レポート作るって言っちゃうとクライアントに全然合わずにひたすらパソコンと向き合うイメージ持っちゃったかもしれませんね。ちょっと誤解を招く表現だったので補足します。

本当はもっと複雑ですがわかりやすいように単純化して説明します。コンサルタントのプロジェクトを便宜的に分けると、伴走型でクライアント先で一緒にプロジェクト管理するようなPMO型のものと、答えるべき論点を設定してそれに対してコンサルタント側で仮説を立てて調査、整理してクライアントと議論しながら論点に答えを出すレポートアウト型の2つがあります。

金子さんがPMO型が多かったのに対して、私のプロジェクト経験の多くが後者のレポートアウト型だったということですね。例えばプライシングモデル構築のプロジェクトでは、最後「このプライシングモデルでいきましょう」がまとまって合意し、その思考がまとまった資料が完成する事でプロジェクトが終了します。
頻度はプロジェクトごとによって違いますが、お客さんとの定例ワークショップっていうのが常にありましたよ。そこで、こっちが考えた仮説についてディスカッションをして、それを繰り返すことによって最終的に報告書を書いていきます。

したがって、クライアントの顔を見ないプロジェクトなんてありませんでした。ディスカッション中で何かしらの関係っていうのは気づけましたね。さらにいうと、その時のクライアントさんで今でも連絡取ったりということもあります。

コンサルタントの仕事はサービス業だって僕も思っているので、「他人の成功を喜ぶ」仕事じゃない方が珍しいのかなって思います。まぁ僕はそこに対して報酬を感じなかったので、それが面白いと感じたことはなかったですが。(笑)
という感じなので、追加がなければ次に進みます。

金子さん:はい、行きましょう。

仕事における達成感とは

仕事をしていて一番達成感を感じる瞬間を教えてください。

金子さん:僕は前回も喋ったけど、一緒に3年半やっていたおじちゃまが大出世したことですね。これが一番嬉しかった。これ長森さん全く理解出来ないって言ってたね。(笑)

長森:全くですね。(笑)自分ならまだしも。

金子さん:やっぱりコンサルを長く続けられるのはこういうところなんだなって思います。

長森:今ちょっと振り返って考えてたんですけど、僕、達成感を感じたことないんですよね。なんかプロセスに面白さを見出したり、終わった後に振り返って楽しかったなってのはあるんですけど、達成した!っていう感覚はないですね。よくそれで今までやってますよね。(笑)

これは人のアイデンティティーに関係すると思うんですけど、僕は目標掲げて、それに向かって頑張って、出来たから「達成」っていう脳の報酬系になっていないんですよ。
今までの僕の人生もボトムアップで、やりたくないことはやらず、避けられないものをその都度やるっていう人生で、振り返ったら結局こうなってたねという感じなので、目標セットして、達成できたからやったー!っていうことを普通にやって来なかったのが大きいですね。

金子さん:そうだよね。何を持って達成感とするのかも人によって違うからね。

長森:そうですね。じゃあ1時間ほど経ったので、ちょっと休憩入れますか。

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